2018年10月3日、ゲストに照明デザイナーの長町志穂さんをお迎えし、水辺オープンミーティングを開催しました(水辺オープンミーティングは月に1回開催している会で、どなたでもご参加いただけます)。
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10月20日のWAKAYAMA MIZUBE CHALLENGEにおいて、まちなかライトアップの企画を担当し、実施してくださる長町さん。全国に約80人しかいないという、照明(あかり)のデザイナーさんです。
今、まちの中に既にあるものに効果的な照明の当て方をすることで、新しい景観資源(新しい夜間の観光スポット)になり、にぎわいをつくっていけるのではないかという仮説のもと、和歌山でもこれから検証していきたいと思っています。
今回の水辺オープンミーティングはその第一歩として、まずは照明デザインの手法でまちがどのように変わったのか長町さんの豊富な経験や事例を聞かせていただきました。
どんな光があるとまちは美しく見えるのか、人が集まるのか、明るく華やかに見えるのか…。どこかから持ってきたものを設置するイルミネーションとは違う、あるものに光を当てるというライトアップ手法をしっかり勉強する素晴らしい機会となりました。
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[長町志穂さんプロフィール] 照明デザイナー/株式会社LEM空間工房代表取締役 都市空間・建築・インテリアにおける照明デザイン、光によるアートワーク、ライティングプロダクトデザイン&ブランドコンサルティング、あかりによるまちづくりなど幅広いデザインジャンルに関る。京都造形芸術大学 客員教授、京都精華大学 非常勤講師、京都工芸繊維大学 非常勤講師。ライフワークは世界の街を訪ね、美しい灯りと集落を観察し撮影する「世界あかりの旅」。
<当日の様子>
和歌山市の市民の力のセミナールームで、19時スタート。
開始時刻には会場は満席となり、熱気に溢れていました。
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「照明器具は主役じゃない」
これが照明(明かり)でつくる夜間景観の考え方だということを、まずはお話いただきました。
イルミネーションはその照明器具であるとか、その照明の配置・デザインが主役の考え方です。
明るくしたいもの自体に照明を付けて、その照明の光や色が主役となります。
ライトアップはそこにあるものが主役で、それを明かりの力によって美しく見せる手法です。照明は脇役となり、そこにある木や壁やオブジェがそのまま主役になります。長町さんの言葉をお借りすると「まちのお宝を磨き上げる、まちの個性を際立たせる」のが明かりのまちづくりです。
事例:六甲アイランドリバーモール
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この写真は、六甲アイランドリバーモールのライトアップ事例についてです。
人工河川「リバーモール」と六甲ライナーが走ることが特徴のエリアです。六甲アイランドのシンボルとしてつくられたエリアでしたが、住民からはあまりこの川も建造物も好かれていなかったそうなのです。
beforeのライトアップは長町さんいわく「昭和のデザイン」で、この周辺に住む方々が好むデザインとは離れた状態でした。それを住環境に合わせて落ち着きある華やかな明かりに変更することで、住民の方々がその場所や建造物を好きになってくれたとのこと。あるものは変わっていないのに、明かりの力で「嫌いを好き」にできるのだ、というお話でした。
同場所でのライトアップは今も続いていて、住民発信でどんな色のライトにしようかと考えてくださるところまで進んだのだとか。イメージを明かりで直すことができる、変化させられるとは本当に驚きです。
この他にも、神戸・名谷駅前や、水木しげるロードのライトアップ事例などを解説いただきました。
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みんながお宝を再認識するようになると、楽しさが生まれたり心の中にアイデンティティが醸成されたりし「まちが変化するきっかけになってくる」というお話はこれまでにない発想で、会場の誰もが驚きました。
これが本当に和歌山で再現できるのかという緊張感もありましたが、いきなり大きな予算を投入して実施するのではなく、イベントで手法を探り(検証)、地域の人を巻き込んで景観ガイドラインを作っていくなど、少しずつできるところから皆でやっていこうと強いお言葉を締めとしていただきました。
「業者さんに頼んだら予算が合わずにできないことも、皆でやればできる。光は人を楽しくする力があるので、皆でできる限りのことをして、まちの顔を作っていきましょう」。
素敵なお話を聞かせていただきました。ありがとうございました。この日、和歌山の明かりのまちづくりは第一歩を踏み出しました。記念すべき日になったと思います。今後は、10月20日のWAKAYAMA MIZUBE CHALLENGEの日に1日限りではありますがライトアップ実験を行います。
ご参加の皆様、ありがとうございました!
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